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1 はじめに
こんにちは。BEANSの戦闘員、ナニガシソレガシです。
第22弾、龍解紅蓮伝がリリースされました。このパックでは今までの超獣世界とは異なる世界線になり、ドラグハートと呼ばれる武器を用いて争いを繰り広げる者たちの物語が動いています。
少し紹介すると、この世界は前弾で登場した《龍世界 ドラゴ大王》が支配していた世界で、彼の影響もあり「龍」の力が異常に発達しています。彼は不死鳥、ロマノフ一族、ゼニスといった旧世界にも訪れた災厄の全てを単独で薙ぎ払った圧倒的な実力者でした。しかし彼を擁する火文明に権勢が集中したこともあり、反感を募らせた他文明が「龍」の力に目覚めその支配を打ち破ったことで新章ドラゴン・サーガ編の幕が上がります。(なお、《龍世界 ドラゴ大王》は今後も更に設定が盛られていきます)
背景ストーリーを私に語らせると長くなるので、収録カードを見ましょう。注目カードはまず紙でもコンボデッキやコントロールといったデッキで長らく活躍し、幾度となく殿堂候補に挙げられた《龍素記号Sr スペルサイクリカ》。そしてビートダウン、ミッドレンジ系のデッキで手軽かつ強力なフィニッシュ性能を持った《龍覇 グレンモルト》&《銀河大剣 ガイハート》/《熱血星龍 ガイギンガ》。そのほかにもTCGの歴史で活躍したカードが多数あります。このドラゴン・サーガ編は単色デッキが強化された傾向が強く、その性質上ひとつの弾では完成しないようなデッキも多くあるため、ひとまずは単体のカードパワーが高いカードに注目が集まっています。
2 テンプレデッキリスト
①【大地サイクリカ】
(シータタッチヴィルヘルム型)
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(トリーヴァタッチヴィルヘルム型)
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まずは《龍素記号Sr スペルサイクリカ》と《母なる大地》のコンボに注目したデッキです。このコンボを少し解説します。
①自分の場のクリーチャーに《母なる大地》。
②《母なる大地》の効果でマナから《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を出す。
③《龍素記号Sr スペルサイクリカ》の能力で先ほどの《母なる大地》を墓地から詠唱。《龍素記号Sr スペルサイクリカ》をマナに置き、任意のクリーチャーをバトルゾーンに。《母なる大地》は《龍素記号Sr スペルサイクリカ》の能力で手札に戻る。
この一連の動作により、任意のクリーチャーの登場時能力を使いながら《母なる大地》を手札にキープすることができます。次ターン以降はこの任意のクリーチャーに《母なる大地》を打てば半無限にこの行為を繰り返すことができるため、これで《偽りの王 ヴィルヘルム》のランデスとマナブーストを繰り返し、自分のリソースを伸ばしながら相手のリソースを奪いつづける半永久的なロックが成立します。
対ミッドレンジやビートダウンを重く見て《超次元ホワイトグリーン・ホール》を打ち続けるトリーヴァ型と、超パワーカード《超次元リュウセイ・ホール》による中盤の制圧性能と呪文メタを焼き払う《モエル 鬼スナイパー》や《ボルシャック・スーパーヒーロー》を持つシータ型の2つが主流です。どちらも《偽りの王 ヴィルヘルム》のランデスとマナブーストを《母なる大地》で利用するため黒はタッチ程度であり、かつての【青黒ハンデスボルバル】のような色配分となっています。
この【大地サイクリカ】というデッキは、呪文は《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で、クリーチャーは《母なる大地》で使えるため、偏った色配分でも無理なく採用でき、デッキとして採用するカードに制限がほぼないのが大きな強みです。現在も発展の途上にあり、今後、どんなカードが採用されても驚くことはできないでしょう。
②【モルトミッドレンジ】
(シータ型)
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(赤緑天啓型)
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(赤緑メタビート型)
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続いて、《龍覇 グレンモルト》と《熱血星龍 ガイギンガ》によるミッドレンジです。早い段階での殴り切りというよりは《熱血銀河 ガイギンガ》への龍解に重きを置き、それらを構えてプレッシャーをかけながら5~6ターンでの勝利を目指す中速のビートダウンになっています。このデッキは「クリーチャーを1体でも残すと次のターン《熱血星龍 ガイギンガ》に龍解されるかもしれない」という圧を常にかけられるため、相手に後手後手な対応を迫ることができます。特にシータ型はかつての【Nエクス】の《サイバー・N・ワールド》が《龍覇 グレンモルト》になったような構成をしています。
シータ型は他のデッキでも見られる《超次元リュウセイ・ホール》と《龍素記号Sr スペルサイクリカ》のパッケージや《ボルバルザーク・エクス》と《龍覇 グレンモルト》による即時打点形成能力などの柔軟な動きが持ち味です。対して赤緑型は《爆鏡 ヒビキ》や《早撃人形マグナム》などのメタカード、《龍覇の天恵》による奇襲性能などを持ちます。どちらも強力で、今後発展する余地やメタゲーム上で輝く時があるでしょう。特に《爆鏡 ヒビキ》は、繰り返し《母なる大地》を撃つトリーヴァ型の【大地サイクリカ】を中心に、かなり序盤のテンポロスを誘えます。
《銀河大剣 ガイハート》だけでなく《将龍剣 ガイアール》によるバトルも多々使用するので出すドラグハートには注意しましょう。
③【白単サザン】
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TCG版にも存在した白の《制御の翼 オリオティス》や《剛厳の使徒シュライパー》などの強力なメタクリーチャーを並べ、《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》でドローに変換して戦うデッキです。使う感触としては《封魔ゴーゴンシャック》を採用しつつ、後ろに溜めるプランをとる動きが強化された初期の【青単リキッド・ピープル】に似ているようです。
こういったウィニー戦術は盤面制限のあるDCGとは相性が悪いためどうなるのだろうかという不安を背負っていましたが、デュエプレオリジナルカードのリメイク版である《聖霊龍王 アガピトス》の登場でその不安も一部解消されました。進化クリーチャーかつシンパシー持ちのため、盤面のクリーチャーに重ねて打点を増やすことができ、更に最小のクリーチャーをタップする能力や踏み倒し能力もアレンジとリメイクが施され、仮に《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》が引けないときもこのカードさえあれば盤面を形成できる、優秀なクリーチャーになっています。
《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》や《聖霊龍王 アガピトス》の踏み倒し圏内である《龍覇 エバーローズ》がブロッカーであることを活かした《ヘブンズ・ゲート》採用型や、同型やビート対面などに強い《聖歌の聖堂 ゾディアック》などのタップ系トリガー採用型などがあるようです。
22弾だけでも単色のデッキが組めるほどでしたが、今後も3コスト以下の光カードが出るたびに強化されるデッキなので要注目です。
④【シュゲモルト】
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前弾環境から存在した【シューゲイザー】のデッキに《龍覇 グレンモルト》を組み合わせたデッキです。【シューゲイザー】は《鎧亜の咆哮 キリュー・ジルヴェス》を採用する都合上デアリカラーを基調とし、そこに白または青を入れて作られることが多かったデッキです。白の強みは《予言者ヨーデル・ワイス》による盤面形成能力、青の強みは《飛散する斧 プロメテウス》による7マナ《神聖麒 シューゲイザー》の安定感向上です。
《龍覇 グレンモルト》は色的にもすんなりとデッキになじみ、また《神聖麒 シューゲイザー》を引けなかった時、または受けきられて後続の《神聖麒 シューゲイザー》が続かなかった時に攻めきれないという弱点を補う、強力無比なサブプランです。これにより《神聖麒 シューゲイザー》がなくとも殴りきるプランができたため、青型よりも白型が最初は好まれましたが、ハンデスなどのメタゲームの変遷によっては今後青型も十分活躍の可能性があります。何なら白も青も抜いたシンプルなデアリカラーも台頭のチャンスがあるといえるでしょう。
⑤【青単リキッド・ピープル】
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前弾続投デッキの1つです。一応《アクア操縦士 ニュートン》などの獲得はあったもののデッキの心臓部はほぼ変化していません。《アクア・エリート》と《超閃機 ジャバジャック》のコンビは健在で、やはり他のビートダウンの追随を許さないほどに強力です。一旦は新デッキに押される形となりましたが、今後の動向に注目です。
《イオの伝道師ガガ・パックン》がND落ちした影響により《超次元サプライズ・ホール》が抜けたため、青白型の勢いは一旦落ち着いたようです。
⑥【白抜き4Cビッグマナ】
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(【大地サイクリカ】とは異なり、《ガチンコ・ジョーカー》を採用し黒のハンデス戦略に重きを置いていています。そのためやや《母なる大地》を採用する余地が減っているため現在は別デッキに数えていますが、後々どちらかに統合される可能性はあります)
前弾からの続投デッキで、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を獲得しました。ただし他のデッキも同様に強化されているのに加え、《龍覇 グレンリベット》の存在で環境的なハンデスの通りがやや悪く、さらにハンデスの分デッキスロットが少ないため《龍覇 グレンモルト》を受けきるという点において【大地サイクリカ】に劣るといえます。
⑦【青黒祝門】
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バトルアリーナ覇者デッキです。獲得したカードは特にないですが、それは今弾に限った話でもありません。闇エンジェルが背景ストーリー上でも珍しいため、むしろデッキの核をほぼ変えずにここまで常に上位に位置していることが凄まじいことです。
ただし【白抜き4Cビッグマナ】で触れた通り現在はハンデスの通りがやや良くないです。ただし《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》は全体除去のため《熱血星龍 ガイギンガ》を選ばずに破壊することができたり、《偽りの星夜 ブラック・オブ・ライオネル》はトリーヴァ型【大地サイクリカ】の盾を焼けたりと環境に対して有効な要素はあるので、そこをうまくハンデスと絡めていきたいところです。
なお、【白単サザン】のエンジェル・コマンド・ドラゴンは《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》で破壊できないので注意しましょう。
⑧【シータビッグマナ】
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(【大地サイクリカ】とは異なり、《ダンシング・フィーバー》やそれと相性のいい10コストのカードの採用が多く、そのためやや《母なる大地》を採用する余地が減っているため現在は別デッキに数えていますが、後々どちらかに統合される可能性はあります)
前弾からの続投デッキで、このデッキにも《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が入ります。【大地サイクリカ】のランデス戦略に対してその減少よりも大量のブーストをしてしまえば対策になるという力技で対抗でき、ゼニスをはじめとする圧倒的なリソース差を生み出すクリーチャーで制圧します。ゼニスのみでなく《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》のためハンター軸に寄ったものもあり、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》がドラゴンで《不敗のダイハード・リュウセイ》とシナジーがあることも刃鬼軸の強化になっています。
⑨【クローシス墓地ソース】
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前弾から変わらずのデッキです。強いて言えば、《オタカラ・アッタカラ》などを始めとしたファンキー・ナイトメアの墓地戦略と親和性を持つため、そこに注目していけるといいと思います。新弾直後で数を減らしましたが、《疾封怒闘 キューブリック》などによるバウンスや《暴走龍 5000GT》のロック能力は、環境や新デッキに非常に刺さりがよいため今後浮上してくる可能性は大いにあります。
⑩【ドラゴン】
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放てミステリー
3 おわりに
他にも
【4Cメンチ】
【5Cミラクル】
【5Cゴッド・ゲート】
【黒単ウルボロフ】
【光臨オラクル】
【赤単速攻】
等は一定数存在したようです。
「【大地サイクリカ】で毎ターンランデスとはまたすごいデッキが出てきたなぁ…」という気持ちがある一方、「でも運営もこんな感じのデッキ作ってたしなぁ…」という気持ちもあります。巷では果たして《母なる大地》が処分されるのか、それとも《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が処されるのかという話も出てきているほどですが、個人的には「(少なくとも今弾のうちは)両方ともお咎めなし」と思っています。理由としては
・コンボ自体誰でも思いつく。
・構造的な欠陥を抱えたまま(《母なる大地》を擁するデッキがビートダウンに弱い)
・次弾で《超次元リュウセイ・ホール》《超次元ホワイトグリーン・ホール》がNDから落ちる。
・《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が今弾のトップレアである。
が挙げられます。
1つ目についてはトリーヴァ型【大地サイクリカ】がある程度その弱点を克服していますが、このトリーヴァ型【大地サイクリカ】は、《超次元リュウセイ・ホール》の有無の差やハンデスへの脆弱性によりシータ型【大地サイクリカ】や【白抜き4Cビッグマナ】に微不利をとります。よって同じカードプールにいる限り、構造的にビートダウンに弱いデッキがメタゲーム上に存在することになるので、あまり問題ではないと思っています。また、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》の効果がターン1制限を受けていることもあり、1ターンで致命的になることはそれほど多くなく、ランデスに対しても《再誕の聖地》などである程度メタを張ることが可能です。
まぁそれでもダメという方の気持ちも十分わかります。
・《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が先攻で動いた時にワンサイドゲームを作りやすい。
・《母なる大地》は【刃】などのデッキで暴れた前科持ちであり、危険なカードである。
・毎ターンランデスされるのは健全なゲーム体験とは言い難い。
などなどこちらの論拠も挙げればまだまだたくさんある気はします。これに関しては正直さんざん暴れている《アクア・エリート》とか構築がほぼ変わらない【青黒祝門】とかがいいのに《母なる大地》だけダメ、とはならないと思いますが…
答えは運営のみぞ知る、ですね。
あと筆者はビッグマナが好きです。なので偏見入ってます。多分。
それでも《龍素記号Sr スペルサイクリカ》はまだまだ開拓途中のカードであり、個人的にデュエプレで強化された覚醒リンクとの相性は抜群にいいと思っているので今後も研究していきたいところです。
また別の話になりますが、今回は単色デッキとして成立したのは【白単サザン】くらいでした。他文明は火文明の【速攻】を除き、単色で、かつ「マナ武装」というキーワード能力を活かしきれるデッキは環境進出はなりませんでした。【白単サザン】もどちらかといえばマナ武装というよりは白の小型メタクリーチャーと《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》のシナジーありきです。
TCGだと【黒単ヘルボロフ】【緑単サソリス】などがいました。これらのデッキのキーパーツがまだやってきておらず、おそらく今後デュエプレにもやってくるであろうと予想されるため、現環境では活躍できていないからとこれらの高レアカードを砕こうとするのは少し待ってもいいかもしれません。
ご質問、ご感想等ございましたらコメント欄までお願いします。
ハンデスの通りが悪いことを何度か言及されていますが、トップメタの大地サイクリカへの数少ない有効打となることを踏まえると悪い手では無いと思うのですがいかがでしょうか。モルトについてもリベット不採用型も多いですし、採用型でも刃鬼の永遠リュウと違って4投はされないという感触です。
コメントありがとうございます。
「3.おわりに」で少し触れたように、デッキとして手札の枚数を抱えにくいトリーヴァ型の【大地サイクリカ】にハンデスが刺さるのは仰る通りだと認識しております。
その上で、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》の性質上、ハンデスしたとしてもトップ次第で解決されてしまう試合が散見されるようになり、またデッキ内の有効札も増えたため、対コントロールにおけるハンデスの価値が下がっているのも否定できないと感じています。
また、使用率が高くなってきている【モルトミッドレンジ】には適宜除去を撃つ必要があったり、マッドネスが起動してしまうと即負けに繋がる恐れが大いにある《龍覇 グレンリベット》を対策しなければいけなかったりと、ハンデスを積むだけの価値がやや薄れているようにも思われます。その分の枠をトリガーや除去に充てる構築が多いと考えているため、本記事ではあえて端的に「通りが悪い」と表現しており、やや低めの評価を与えています。
総じて、ハンデス自体の強みがあることは変わっていないと思いますが、使うタイミングの見極めが難しい点や環境の流れを読んだ構築が定まりにくいといった点から、汎用的な価値は落ちたと結論付けました。
貴重なご意見ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。